プレシャスハートという酒を飲んだ。甘酸っぱかった。

このコロナ禍の中、大きな声では言えないがつい最近実家がある大阪に帰ってきていた。

地元と言えるほど長く住んではいないが、高校時代+浪人一年の計4年は住んでたこともあり中々愛着がある土地だと思う。

つい最近梅田、というか北新地あたりのウイスキーバーに足を運んだ。二日酔いになる度にもう飲まないぞと決心するものの数日後にはまた口にしている。学ばないなぁと思いながらも美味しいしいいかと結論づけた。

このバーは中々レアなお酒が置いてある店で、(なにせ会員制とすこしお高くとまったバーであるから当たり前なのかもしれないが)いつも意外なお酒を飲むことができ気に入っている。

なんやかんやで最初はメニュー冒頭にかかれたおススメを選んでしまうのだが今回はすこし気になるお酒をみつけたのでそれを選んだ。

そう、それがプレシャスハートだ。

どんなお酒か説明してくれていた筈なのだが、なんせ酔っていたのであまり覚えていない。

丁寧に教えてくれていたマスターに少しだけ罪悪感を覚える。しかしながら味だけは確かに覚えている。良い意味で嫌なぐらい、甘酸っぱい味がした。言うのが恥ずかしいが"恋"を味で表現するならきっとこんな味なんだろう。後引く苦さがそれを更に感じさせた。

 

ところで皆さんは青春コンプレックスを持っているだろうか?ちなみに私は死ぬほど持っている。今年はコロナの影響もあり見かけることは少ないが、夏の電車にいる高校生の眩しさは恐ろしい。言っても2、3歳しか変わらない筈なのに無限の可能性をもっているように見える。

正直羨ましくてたまらない。

でも何より、あの透徹な空気感が羨ましい。

よく青春コンプレックスを抱く人は、中高で青春を送れなかった人だという説を耳にする。

制服デートをしたこともある。

自転車を二人乗りして騒ぎ水風船を投げ合った。文化祭等々のイベントも大いに楽しんだ。

なのに私は青春コンプレックスを抱えている。

体験した青春を否定しキラキラとした何かをずっと探しているのだ。

 

帰省中レポートをする為に喫茶店に行こうとしたことがあった。東京の家では徒歩圏内にWi-fiコンセント完備のカフェがあるのだが、実家の周りは少し田舎なため近くにはない。しょうがないと思い自転車で15分ぐらいの喫茶店に行くことにした。久しぶりに高校時代愛用していた自転車に乗った。どうしようもなく涙がでた。

意味がわからないと思うが私にも意味がわからない。なんの涙なのかわからなかったがとにかく止まらず、自転車を一度とめようとした。

しかし漕ぐのをやめれなかった。

止まってしまえば二度とそこに戻れない気がして止まれなかった。結局その日私が喫茶店にいくことはなかった。冷静に考えると正気の沙汰じゃないが、二時間ぐらい自転車漕ぎ続けた。

疲れ果て、その日は何もせず家に帰った。

次の日も今日こそはと思い喫茶店に行こうと自転車にのった。もう涙が出てくることはなかったし、懐かしさを感じることもなかった。

 

コメダでコーヒーを飲んだ。

今まで苦くて飲めなかった珈琲が最近飲めるようになった。少し大人になった気がした。

けれどそれでも私はカフェオレを頼んでしまうだろう。